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(日本経済新聞/'23.9.6) 世界平和統一家庭連合(旧統一教会)に対し、文化庁は6日に宗教法人審議会を開き、行政罰の「過料」を科すことについて専門家の意見を聞く。過料とはどのようなもので、なぜ文化庁は教団に対して科すことを検討したのか。今後の手続きの流れを含め、3つのポイントから読み解く。
・「過料」とは何か?
・なぜ教団に科す方針なのか?
・今後の手続きの流れは?
(1)「過料」とは何か?
過料とは行政法が定める義務違反に対し、金銭的な制裁を科す「行政罰」のことだ。刑罰ではないので刑法や刑事訴訟法は適用されず、前科にもならない。
宗教法人法は、法令違反などの疑いがある宗教法人を調査する「質問権」の行使に際し、法人側が回答を拒んだり虚偽の報告をしたりすれば「10万円以下の過料を科すことができる」と定めている。
文化庁は今回、この規定を適用し、教団に対して過料を科す方針を決めた。6日午後4時から宗教法人審議会を開き、専門家らの意見を聞く。
(2)なぜ教団に科す方針なのか?
文化庁宗務課は2022年11月以降、教団に対して質問権の行使を7回重ねてきた。主に組織運営や資金面などについて尋ねたが、回を重ねるごとに教団が提出する資料は減っていた。
1回目に段ボール8箱あった回答は4回目以降、封筒1通や紙袋数個程度になった。関係者によると、延べ600ほどの質問項目のうち「回答拒否」は100項目以上に上るという。
そもそも質問権には警察捜査のような強制力はない。政府内では「質問権行使での収穫がほとんどない中、これ以上繰り返しても仕方がない」(文部科学省幹部)との見方が広がっていた。
(*元文科省担当記者によると、最初から教団側からの回答には中身がなかったという。段ボール箱を開けると、自分らが勝った裁判の記録や、パンフレットなどが沢山入っていて、そもそも内容が薄いものがほとんどだったという。)
文化庁は過料を科すことを決めることで、長期化している質問権行使による調査は7回で区切りをつける方針。政府として教団側に厳しい姿勢で臨むことを示した上で、今後は高額献金の被害者への聞き取り内容の精査に重点を置く。
(*質問権の行使というのは、文化庁からすると表向きの行動で、その裏では被害者のヒアリングが行われてきた。どの部分が証拠となって、裁判で用いることができるのか、慎重に検討を重ねていって、今回の結論に至ったという。」
(3)今後の手続きの流れは?
文化庁は6日の宗教法人審議会で了承が得られれば、東京地裁に対して過料を申し立てる方針だ。地裁は非公開で審理し、教団側からも意見を聴くなどして判断するとみられる。
裁判所が過料を決定した場合、教団側は不服申し立てができる。最高裁まで争い続けることが可能で、結論が出るまでに一定の時間がかかる可能性がある。
教団は5日、ホームページで「質問権行使は違法であり、回答する理由はないと考えてきた。質問に毎回真摯に回答してきたが、(過料の裁判では)質問権行使自体の適法性を含め徹底的に争う」との見解を公表した。
政府はこれとは別に、教団に対する解散命令請求の可否についても慎重に判断する構えだ。宗教法人法は「法令に違反して、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為をした場合」に裁判所が解散を命じることができると定める。
永岡桂子文科相は5日の閣議後の記者会見で、現段階では解散命令請求を判断する材料が集まっていないとした上で「今後については予断を持って答えることは差し控える」と述べた。文化庁は教団の回答資料や被害者らへの聞き取り内容を分析し、教団の行為が「組織性、悪質性、継続性」の要件を満たすかどうかについて精査を続けている。
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