【山下美智代コラム】新型コロナウィルスが韓国の運命を変える

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4·15総選結果、青=民主党、赤=統合党
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新型コロナウィルス(以下、新型コロナ)緊急事態の中、4月15日に韓国に於いて国会議員選挙が行なわれた。4月10日・11日に事前投票が行われたが、10日時点での投票率が12.14%、11日にはすでに26.7덉%、15日の当日には66.2%と28年ぶりに最高投票率を記録し、今回の選挙への国民の関心の高さが伺われた。 

その原因として、今回から選挙権が18歳からに引き下げられたこともあるが、現政権に対する国民の関心が非常に高いということである。
3年前、与党であった保守派政権の朴槿恵大統領の退陣によって政権交代し、革新派である民主党の文在寅政権が成立した。文政権は「積弊清算」をスローガンに国民主体の政治と民主化を成そうと「検察改革」「経済民主化」「北朝鮮への経済援助」などの政治改革を進めようとした。

しかし、文政権成立以降、革新派と保守派の戦いは収まることがない。新たに改革しようとする政策に対して、野党となった保守派(旧・自由韓国党)の反対が強くそれが高じて、昨年は朴前大統領の弾劾への不満と韓米同盟強化、「文在寅弾劾」を訴える「太極旗集会」と、革新派で文政権を支持し「検察改革」「公捜処(高位公職者犯罪操作処)設置」を訴える「チョップル(ローソク)集会」との対決となり、国民総動員(それは言い過ぎであるが)と思われるくらいの規模でのデモ集会が毎週行われた。

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チョップル(ローソク)集会

流石に、今は新型コロナ緊急事態のお陰で集会禁止令中なのでデモ集会対決はできないが、ネット上での対決は相当であった。最近では、新型コロナ対策に対する是非についてが争点にもなっている。新型コロナ対策について世界的に評価を得ている文政権現与党(共に民主党)に対して、その対策については批判的であり、政策については経済危機を訴え、現政権が続けば韓国が社会主義国家になると批判、日米韓の安保協力の強化を強調する保守勢力(野党・キリスト教系太極旗勢力など)の対決だ。

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太極旗集会

文大統領の任期があと2年残っているため次の大統領選挙に大きく影響を与える選挙だ。与党(共に民主党)も野党(未来統合党)も両党共にどうしても負けられない選挙であり、韓国の運命を大きく変えると言っても過言ではない選挙であった。

4月15日投票終了後、即日開票が行われ、結果は300議席中「共に民主党・共に市民党」が180議席、対し未来統合党が84議席、比例代表の未来韓国党の19議席と合わせ103議席と与党が勝利し議席数を大きく増やした。与党「共に民主党」の180議席というのは単独で法案を処理できる数だ。これで今後多くの法案が可決されるようになるであろうが、これまで激しく対決してきた与党と野党の戦いが更に激しくなる可能性がある。国民中心の政治を訴え、民主化を進めてきた現与党の「共に民主党」であるからこそ民心を良くまとめていっていただきたい。

注目されていた、次期大統領候補と言われる「共に民主党」のイ・ナギョン(李洛淵)前首相は高い支持率を得て当選し、同区から出馬した未来統合党代表のファン・ギョアン(黄教安)氏は「国が間違った方向にいくのを、守れなかった。すべての責任は私が背負う」と謝罪の言葉を述べられた。

日本人として気になるのは今後の日韓関係だ。革新派からは親日派と言われる保守政権から革新派の文政権に代わり、日韓関係は慰安婦問題・徴用工問題・経済措置問題など悪化の一途を辿り、昨年は戦後最悪日韓関係冷却とまで言われた。

ところが、この新型コロナパンデミックのお陰で、総選挙前である3月からその冷え切った日韓関係に変化が見られている。

韓国の文大統領が、先の3・1節の記念辞で、新型コロナに対して、「(韓日)両国が協力しながら危機を乗り越えよう」と語られ、実際に両国の協力が実現している。

1つは国外にいる自国民を避難させるため、3月末に韓国政府が手配したチャーター機に日本人も搭乗し(マダガスカル・フィリピン・ケニアから)、4月6日には日韓が共同でチャーター機を手配(カメルーン)し、今後も日韓で自国民の帰還を協力していく方針だ。

また、韓国・慶州北道にある、日経企業東レ先端素材は、3月末からマスクの原材料である素材の生産ラインを設立し、韓国での感染対策に貢献している。これに伴い日韓両国間の経済人の例外的入国許可が検討されている。

今後も新型コロナ対策について日韓が協力していくことを通して両国関係が改善し、友好が深まっていくことを期待する。

世界を大きく変えていく新型コロナパンデミック。韓国にも多くの感染者を出し、世界から除け者のように扱われた韓国が除け者から世界のトップに立った。その影響で今回の総選挙において与党の「共に民主党」に勝利をもたらし、日韓関係も改善傾向にある。

『人間万事塞翁が馬』と言われるように、保守派から「共産化される」や「社会主義国家になる」との批判を浴びてきた「共に民主党」の勝利は、今後大きく韓国に幸運をもたらす兆しかも知れない。今後の韓国に注目したい。

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