【ケイティ·バウマン】見えないはずのブラックホールがなぜ見えた?(Part 3)
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アルゴリズム開発と似顔絵捜査官
その中で、私たちがブラックホールだと考える姿に他のものよりも近い画像があります。最初のブラックホールの写真を撮るために私が担当をしているのは、望遠鏡の観測データに合致する最も合理的な画像を見つけるためのアルゴリズムを開発することです。
似顔絵捜査官が、わずかな特徴の情報から顔の構造についての知識を用いて、1枚の絵を描きあげるのと同じように、私が開発中の画像処理アルゴリズムを使って、限られた観測データを宇宙にある天体としてふさわしい1枚の絵にまとめます。このアルゴリズムを使うと、このまばらでノイズだらけのデータを写真へとまとめあげられるのです。
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ブラックホール写真の再構成
では、天の川銀河系の中心にある ブラックホールに望遠鏡を向けたとするシミュレーションのデータを使った再構成の例をお見せします。これは、シミュレーションに過ぎませんが、このように再構成できることで、まもなく初のブラックホールの写真を確実に撮影し、その輪の大きさを決められるという希望を持てます。このアルゴリズムの詳細を全てお話ししたいのはやまやまなのですが、皆さんには幸いなことに十分な時間がありませんが。
宇宙の見え方を決定する方法やアルゴリズムによる再構成や結果の確認に使う方法をざっと紹介します。さて、望遠鏡の観測データに完全に合う画像は無限にあり得るので、何らかの方法でその中から選び出さなくてはなりません。ブラックホールの像に近い度合いに応じて、これらの画像をランク付けして最も適切な1枚を選びだします。
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もう少し分かりやすくして、フェイスブックにあるイメージを投稿する可能性を示すモデル(アルゴリズム)を考えてみましょう。私たちは、左のノイズだらけの写真が掲載される可能性はほとんどなく、右の自撮り写真が掲載される可能性はかなり高いとそのモデルに言わせたいでしょう。真ん中の画像はぼやけているので、ノイズ画像よりはフェイスブックに掲載される可能性は高いが、自撮り写真と比べると可能性は低くなります。
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銀河の中心に大きな象がいるかもしれない
ブラックホールの写真となると、これは難問です。なぜなら、一度もブラックホールを見たことがないからです。その場合、ブラックホールの像らしいのはどれで、その構造として仮定すべきなのはどの構造でしょうか?「インターステラー」のブラックホールのイメージのように、今まで行ったシミュレーションからの画像は使えるでしょう。しかし、そうすると重大な問題が起きます。
もし、結果的にアインシュタインの理論が成立しなかったらどうなるのでしょうか?私たちは今起こっている状況について正確なイメージを再構成したいのです。もし、私たちのアルゴリズムにアインシュタインの理論を反映させすぎれば、結局予想した通りのものしか見ることができません。私たちは、銀河の中心には大きな象がいるかもしれないという可能性を残しておきたいのです。