故鈴木 宏(元国鉄監査委員会委員、日本基督教団小石川白山教会)
一、憲法第9条誕生の背景
1945年10月に発足した幣原喜重郎内閣は、憲法問題調査委員会を設置し、松本国務大臣を委員長とする、所謂松本委員会か発足された。翌年に天皇の人間宣言が発表され、その後幣原首相はマッカーサーと会談した。その時、幣原首相の口から初めて「戦争の放棄」の構想が提案され、マッカーサーは痛く感動した。そして、マッカーサーは1951年5月に米国上院の軍事・外交委員会でこのような内容を証言した。
一方、松本委員会は「連合国軍撤退後、警察外にも必要な最少限度の国防力の存在を認める」という内容で纏めた「憲法改正要綱」をGHQに提出した。しかし、幣原首相は臨時閣議で「軍規定全面削除」を支持した。最終的に、GHQは松本委員会案を拒否し、マッカーサー草案を政府に提出、それに従って政府は憲法改正草案を発表した。
以上のことから、第9条の平和主義・非軍事国家構想はもともと日本側にあったことが判る。敗戦により、厭戦(戦争を嫌う)情緒、平和願望が強く残っていた時期であり、その後朝鮮戦争勃発と同時にマッカーサーが警察予備隊の設置を指令したことや米ソの冷戦が現実化した事実を見れば、戦後2~3年の間しかこの「平和憲法」の生まれるタイミングはなかったと思われる。(参考)ジョージ・キザキ氏「私はマッカーサーの直属通訳官だった」
幣原喜重郎首相:「私がマッカーサー元帥に申し上げて第9条の条文になった。」
マッカーサー元帥:「戦争を禁止する条項を憲法に入れるようにという提案は幣原首相が行った。」
二、大江健三郎の見解
1994年秋ノーベル文学賞を受賞した大江健三郎氏は受賞記念講演で次のように述べた。「新生に向かう日本人を支えたのは民主主義と「不戦の誓い」であって、それが新しい日本人の根本のモラルでありました。しかもそのモラルを内包する個人と社会はイノセント(純粋)な無傷のものではなく、アジアへの侵略者としての経験にしみつけられていました。」
「現在日本という国家が、国連を通じての(迂回的な)軍事的な役割で、世界の平和の維持と回復のために積極的でないという国際的批判があります。それは我々の耳に痛みとともに届いています。しかし日本は再出発のための憲法の核心に、「不戦の誓い」をおく必要があったのです。痛苦とともに日本人は新生へのモラルの基本として「不戦の原理」を選んだのです。」
「それは、良心的徴兵拒否者への寛容という点で長い伝統を持つ西欧において最もよく理解されうる思想ではないでしょうか。この「不戦の誓い」を日本国の憲法から取り外せば—–それへ向けての策動は国内に常にありましたし、国際的な、いわゆる外圧をそれに利用しようとする試みも、これらの策動には含まれてきました—–何よりも先ず我々はアジアと広島、長崎の犠牲者を裏切ることになるのです。その後にどのように惨たらしい新しい裏切りが続きうるかを、私は小説家として想像しないわけにはいきません。」
今日、良心的兵役拒否が法制化されている国は資本主義国14カ国(米、英、仏、独、ベルギー、オランダ、デンマーク、スエーデン、ノルウェー、フィンランド、イスラエル、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド)だ。これには宗教的背景があり、宗教改革時代に生まれたアナバプテスト(再洗礼派)により打ち出され、その後メノナイト、クエーカー、ブレズレンの3教派がその代表だ。この良心的兵役拒否には、殆んどの場合、代替責務として「市民的公共奉仕」が義務付けられている。
三、関田寛雄の解釈
日基教団巡回牧師である関田寛雄氏(青山学院大学名誉教授)は、「キリスト教国でない日本で何故「不戦の誓い」が憲法に盛り込まれたか」という疑問について次のように解釈した。
「イスラエルのバビロン捕囚解放は、異邦人キュロス王を用いたもうた神のみ業でありました。神の摂理は人間の思惑を超えた驚くべき手段と経過を通して行な われます。神の御計画はユダヤ人・異邦人の区別(差別)はないのです。「神は憐れもうとするものを憐れみたもう」自由な決断をなさる方でありますので、人間の思いを越える歴史の展開が行なわれます。」
「したがって、神はその御計画(人類を救わんとする)のためには自由に、時にはユダヤ人を、時には異邦人をお用いになるのです。そのことが歴史の核心であるとすれば、第2次大戦後“異教国”日本が、世界から戦争をなくすための 「器」として神に選ばれたと受け止めるのは、日本のキリスト者の必然的な聖書理解でありましょう。」
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