【オムニバス映画】 アジアの共生「アジア三面鏡」

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『アジア三面鏡』は、東京国際映画祭が初めて企画したものの、ひとつのテーマのもとにオムニバス映画(互いに独立した幾つかのエピソードを一つにまとめた形式の映画)を共同製作する「国際交流基金アジアセンター×東京国際映画祭 co-produce アジア・オムニバス映画製作シリーズ」である。

「アジアで共に生きる(Live together in Asia)」を共通のテーマに、行定勲(日本)、ブリランテ・メンドーサ(フィリピン)、ソト・クォーリーカー(カンボジア)等、3人の監督が3カ国を舞台に両国間を行きかう人々の人生を映し出した映画だ。

ブリランテ・メンドーサ監督の作品は、日本を不法滞在で追われ、故郷フィリピンに数十年ぶりに帰ることとなる男の心境を映し出している。苦境に見舞われながらも逞しく誇り高く生きる自国の人々が巧みに描かれる。メンドーサ監督は北海道帯広とマニラを舞台にナショナリティーを失ったことで伴う人生の喪失について描く。主演は、フィリピンで最も尊敬される俳優の一人で『ボーン・レガシー』(12年)などハリウッド映画でも活躍するフィリピンの名優、ルー・ヴェローソ。

行定勲監督による作品は、かつては日本軍が駐留し、現在多くの日本人高齢者が余生を過ごすため移住するマレーシアが舞台だ。日本から移住し、鳩舎のある屋敷で家族と離れて暮らす老人と、ヘルパーの若いマレーシア人女性の心の交流を描く。主演は日本映画界の重鎮、津川雅彦。相手役はマレーシアの故ヤスミン・アフマド監督のミューズ、シャリファ・アマニ。老人の息子役として永瀬正敏が出演する。

ソト・クォリーカー監督による作品は日本とカンボジアを繋ぐ時代を超えたラブストーリーだ。クォリーカー監督は、初監督作『シアター・プノンペン』(7月2日公開)でクメール・ルージュにより失われた自国の映画史を題材に、未来への望を描いた。2作目となる本作では二つの時代にカンボジアで出会った男女の恋愛模様を同国の内戦の歴史、そしてプノンペンに実在する日本友好支援の橋、《日本橋》を軸に描く。主演は映画、テレビ、舞台など国内外数々の作品で活躍する加藤雅也。相手役はカンボジアより現在宮本亜門演出の舞台「ライ王のテラス」に出演中のチュムヴァン・ソダチヴィー。

本作品は10月25日(火)~11月3日(木・祝)まで開催予定の第29回東京国際映画祭にてワールドプレミア上映したのち、世界各国の主要映画祭等での上映を目指している。
監督・主演キャストのプロフィールなど

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上段左:ルー・ヴェローソ(フィリピン) 、津川雅彦(日本) 、加藤雅也(日本)
下段左:シャリファ・アマニ(マレーシア) 、永瀬正敏(日本)、チュムヴァン・ソダチヴィー(カンボジア)
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