(前列左から) 金貴粉、鈴木久美、韓祥子女史、韓昌祐 理事長、朴美貞、古川成美、(後列左から) 熊谷聡、尾崎孝宏、池内敏、米田利己
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金貴粉(キムキブン)/国立ハンセン病資料館学芸員
かつて日本のハンセン病療養所には、多いときで700人以上の在日コリアンが、入所していた。在日コリアンのハンセン病発病率が高いのは、この病気が栄養や衛生状態の悪い場所で発病する可能性が高く、植民地支配下において生活水準を、低く押し下げられていたことによるものだ。これまで聞き取り調査を行い、ライフヒストリーを構築する作業を進めて来ましたが、さらなる関連資料館調査を進め、オーラルヒストリーを採用し、複合的な視点からその実像を明らかにすることを目指します。
鈴木久美/駒澤大学相互教育研究部非常勤講師
敗戦後の日本政府とGHQ/SCAP(連合国最高司令総司令部)による在日コリアンの「帰国」政策について、修士論文ではその決定過程や帰国を実施した送出港の状況などを明らかにした。その後、日本と韓国での現地資料調査や聞き取り調査を行い、その成果を博士論文として発表。今回、博士論文を単著として刊行することで、在日コリアンの「帰国」の研究を促すとともに、新たな知見を示し、朝鮮史や日本史の枠組みを超えた世界史に連なるものとして提示することを考えています。
熊谷聡/文筆業/元桜美林大学非常勤講師
日本で絶滅したカワウソは、韓国では保護や保全によって数が増えています。今、韓国のカワウソ研究者は、伝染病予防を目的に日本への分散飼育を求めていることから、「日韓カワウソ合同研究会」を設立。研究者や飼育関係者、学生の交流を促すことで飼育・繁殖・医療技術の向上を図っています。また、野生カワウソのエクスカーションを企画。30年に及ぶ韓国でのフィールドワークを生かし、日韓の動物園・水族館という現場と研究機関の懸け橋となる活動を実施します。
尾崎孝宏/鹿児島大学による国際交流モデルの構築
本コースでは、文化人類学の現地調査手法と異文化理解の方法により、学生の感性・創造性と行動力を生かしながら、日韓の市民交流に役立つモデルの提示を目指しています。すでに10年にわたって、パートナーである全北大学の学生とは共同調査を通して、経験と実績を積み重ねて来ました。日韓の学生が社会問題の解決に向けて情報発信し、日韓な教員側は学生がより効率的に高度な交流活動に参加できるように誘い、シンポジウムで市民レベルの交流み試みます。
池内敏/名古屋大学大学院文学研究科教授
ある高名な東洋史研究者が、朝鮮王朝から中国に派遣された朝鮮燕行史と日本への朝鮮通信使の往来について、前者を「幹線」、後者を「ローカル線」と表現した。しかし、朝鮮王朝による日本への外交使節=訳官吏の派遣は50回以上を数え、1630年代から1860年代まで継続されていました。訳官使は、対馬藩との「私的交流」と見なされてきましたが、実は江戸幕府の対朝鮮外交の一環をなしていました。訳官使と朝鮮通信使の連続性や相互補完性を意識し、これまでにない朝鮮通信使研究の再構成を進めています。
朴美貞/国際日本文学センター研究員/京都大学国際高等教育院講師
朝鮮時代、権力層を中心に「肉理紋」ていう特別な表現方法による肖像画が多数制作されています。その後、日本人により写真技術が伝えられると、朝鮮古来の肖像画は「写真」へ移行しと行きます。朝鮮の伝統肖像記法がどのように写真技術と融合し、それが人々の意識をどう変えたのか?写真は誰が制作し、どのように流通し、人々に受容されていったのか?写真という媒体を通して、朝鮮の近代化の過程で埋もれた断面に光を当て、植民地イメージを生み出す支配構造を明らかにしていきます。
古川成美/早稲田大学早稲田環境学研究所研究員・講師
山形県高畑町で始まった「相互扶助」を、基盤にした有機農業が、EU諸国、カナダ、アメリカの若手農家・消費者の間で急速に拡大しています。一方、韓国では2011年の第17回国際有機農業連盟国際大会以降、農村共同体に伝わる人と人との繋がりと支え合いを意味する「プマシ」が注目されています。そこで、信頼関係を基盤にした韓国の「プマシ」や日本の結(ゆい)を共通する農の思想として広く発信し、農の文化を守り、有機農業のネットワークを構築していきます。
米田利己/対馬アートファンタジア実行委員会実行委員長
日本と韓国を結ぶ島として古来より発展してきた「対馬」。ここを日韓の友好の地、人と人との心の中継地として抱え、国家や民族を超えたコミュニケーションを可能とする「現代アート」を媒体に活発な交流を図っています。日韓の芸術家が対馬で作品を制作し、芸術祭「対馬アートファンタジア2016」で展示。また子供を対象に芸術に関するワークショップを、開催するほか、日韓の芸術家がお互いの文化や自身の芸術作品を紹介するなどを、より理解を深める活動を行います。
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