昨年6月29日、スンニ派過激武装組織の指導者アルバグダディは、「イスラム国家(IS)」という「カリフ国家」の創設を宣言した。 「カリフ国家」とは、民族や人種を超えたすべてのイスラム教徒の共同体として、1928年にエジプトでムスリム同胞団を創設して以来、イスラム主義勢力の究極的な目的である。
今日ISは、英国より広い領域、スカンジナビア3国とデンマークを合わせた人口、イラクモスル中央銀行の5億ドル、毎月1200万ドル以上の税収、石油密売収入、イラク政府軍が捨てたタンクやヘリコプター、装甲車などの米国産先端装備を備えており、アルカイダやタリバン政府をはるかに超える勢力となった。
ウォールストリート·ジャーナルによると、ISの求心点は正に、終末論的な世界観であり、イスラム教創始者であるムハンマドが預言した人類最後の日に、「ダービーク(Dabiq、シリア北部の村)」で、イスラム教徒とローマ(クリスチャン又は西洋人)、即ち異教徒が最後の決戦を繰り広げるという。彼らは、「ISに降伏しなければ大洪水が地球を襲うだろう」と威嚇している。
しかし、過去に特定の自然現象や社会現象と結びつけて恣意的に解釈した時限付終末論は毎々外れた。「ダビデ派」「太陽の寺院」「天国の門」「人民寺院」「オウム真理教」「五大洋」「ダミエ宣教会」などがその代表例である。気候変動、地軸の移動、太陽風の来襲などと結びつけたマヤ暦•地球終末論(2012年12月21日)は自殺騒動を引き起こした。キャンビング牧師の「地球最後の審判日(Judgement Day)」(2013年12月18日)予言によって、離婚と自殺などが相次いだ。「信者たちを誤って導いた自分の行動を後悔して謝罪する」と彼は過去20年間の主張が間違ったことを認めた。
従って、今後ISとの対立が長期化すればするほど、罪のない市民が疑似終末論扇動に巻き込まれることが深く懸念している中で、終末に対する彼らの信仰の根幹を根本的に揺さぶることこそIS勢力を弱体化させることができる最も効果的な戦略であろう。
一方、「片手コーラン、他方の手スマートフォン」を持ったISは、SNSと英語を宣伝·扇動の武器として積極的に活用している。昨年から「ダービーク(Dabiq)」という英文のウェブマガジンを発行し、10月号「奴隷制の復活」という題目の下、女性と子供の人身売買と奴隷制を公式宣言したが、去る1月10日にトルコで行方不明になった韓国人キム·ヨンギ君(18 )は、男女同権や男女平等に対する嫌悪、又は女性に対する憎悪のためにISに加担したものと推定される。
イラクのアルパリ外相は、「ISがSNS通じて繰り広げる戦争には国境がない。第1·2次世界大戦とは比較にならないほど大規模で複雑な第三次世界大戦である」と深い憂慮を表明した。なぜなら、ISは既存のテロ組織とは異なり、米国だけでなく、中国·ロシアなど、ほぼすべての先進国相手に挑発するため、社会に不満を持つ若者らや疎外勢力は、世界の既存秩序に対して真正面から勝負をかける最も素敵な集団だと見間違えるからである。
「銃で人質を捉えているだけで恐ろしい恐怖心を与える。神の恩寵を受けるだろう」「ジハード戦士は、自分の功労証書にただ一人の殺された異教徒の名前が刻まれても、喜んで主に会える」などの扇動に呼応して、10代後半から20代の狂信者らは「シャリア法に基づいて統治される世界を作ろう」と同調している。
ISはまた、「十字軍同盟(西側諸国)に対抗する戦争」としながら「一匹狼型テロリスト」が最高だと褒め称えている。 「一匹狼」とは、テロ組織のメンバーではないが、各自の信念に基づいて、自ら行動する「自生的テロリスト」を指す。 2000年代以降登場した彼らは、世界の至る所で宗教指導者のオンライン演説や宣言映像とSNSに触れながら、アイデンティティーの混乱、差別、孤立感、疎外感から脱出するために「一匹狼」に変身している。
「ここに道を失って迷う「一匹狼孤児」がいるとしよう。彼が理想とするイスラム国家を建設したとする。しかし、同時にそこが彼の魂を埋めねばならない墓場であるということを彼は知るに至るであろう。それでは、彼か帰すべき本心の安息所はどこであるか?全人類が、一つの兄弟姉妹として、再び相まみえる「群れる羊大家族」である。」


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