【シリア】 シリア化学兵器疑惑で国連が現地入り要請、米情報機関も独自調査へ

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8月22日、国連の潘基文事務総長は、
国連調査団の現地調査をシリア政府に強く要請した
シリア内戦で化学兵器が使われ、なんと1300人以上死亡した。しかし、シリア政府は化学兵器攻撃について否定している。これまでシリア政府軍は、虐殺を繰り返してきたが、その度強く否定してきた。トルコに向けて撃った砲弾が、シリア政府軍のものであったことが確認されたにもかかわらず、その事実さえも否定した。

地元の医師たちとのインタビューによると、典型的な化学兵器の損傷による死亡であると判明。また、昨年12月からシリアで化学兵器が使われた疑惑も浮上した。今年7月に、ル·モンドの記者二人が、その現場を取材し、フランス政府が公式的に確認した。

今、シリアのアル=アサド大統領は、自由シリア軍に包囲されて政権が危険にさらされている状況下にあるため、化学兵器攻撃で突破口を切り開こうとしたとみられる。

2年半も続いているシリア内戦は、極些細な出来事がその発端となった。当時、エジプトとチュニジアで、「アラブの春」の革命が起こり、独裁者の名前の横に 「降伏」「必要ない」という非難の言葉を書いたスローガンが流行していた。そのようなスローガンはシリアの衛星放送やニュースでも報道され、これを見たシリアの子供たちが、いたずらのつもりで、アル=アサド大統領の名前と非難の言葉を壁に落書きした。これに対して、シリア政府はパニック状態に陥り、犯人探しに血眼になった。結局、10歳から14歳までの10代の子供8人が捕まった。政府軍は子供たちを連行して拷問した。子供の親達は政府庁舎の前でデモを繰り広げて、市民達も加わる展開となった。政府の過剰な武力鎮圧は、逆にデモ隊を大きく刺激し、アル=アサドの独裁によって抑えられていた不満が一気に噴出した。国民を説得しようとする努力よりは、鎮圧で強硬姿勢を貫くアル=アサド政府に対して、市民達は、「これ以上私たちの大統領ではない。あなたを追い出したい」と猛反発した。政府軍はデモ隊に発砲し、市民達も武装し始めた。女性たちは金等を売りながら武器を購入、自由シリア軍が誕生した。

軍事作戦の経験がなかった市民達に、政府軍の将校達が脱走して加勢することによって、政府軍は窮地に追い込まれた。しかし、シリア政府は、ロシア、イラン、レバノンのヒズボラなどシーア派勢力の支援を受けて反撃に出た。ロシアがシリア政府軍を支援した理由は、シリアがロシアの主要な武器輸入国の一つだからだ。また、米国の世論が市民側を支持する雰囲気の中、反米感情はロシアをシリア政府側に傾けさせた。これに中国も加わって、アル=アサドは長期戦に耐えられるようになった 。このような状況下で、UNも積極的に介入できず、過去2年半の間、約10万人が死亡したと推定される中で、女性と子供の犠牲が特に多かった。

しかし、今回の化学兵器攻撃については、国際社会がこれ以上容認できない状況が展開されたために、米国も決断せざるを得ない時を迎えた。米国が介入すれば、事態は短期間で収束するとみられる。ロシアや中国もシリア政府側に立つことは難しくなりそうだ。

シリア政府が首都ダマスカス郊外で化学兵器を使用したとする画像がインターネット上に公開された。
(人によっては不快になる映像が含まれていますのでご注意ください)
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