日本人の文化習俗には驚くものがある。戦場で激しく対立して戦っても敵の戦死後、敵はすでに敵ではなく、同じ霊魂を共有する人間としてみなす。仏教の「怨親平等」に由来し、長い間、日本人の武士道の行動原理として定着して日本文化の徳目として広く認められてきた。たとえば、豊臣秀吉の朝鮮侵略で日本水軍を撃破した李舜臣(朝鮮にとっては民族英雄だが、日本にとっては敵将である)を日本の海軍は高く評価した。伊藤博文を暗殺した安重根(韓国人には民族英雄だが、日本人にはテロリストとなる)を旅順刑務所の看守千葉十七は敬愛し、冥福を祈ったことは有名である。日清戦争では、水帥提督丁汝昌が降伏を拒み自決。彼のいさぎよさに感服した日本政府は「丁汝昌を顕彰すべし」と清政府に申し込んだが黙殺されたので、威海衛にいる日本人たちが「壮士の碑」を建てたと伝えられる。日中戦争の間にも、日本軍は戦争中犠牲になった中国軍に対して慰霊を度々行ったとされる。
日本人と対照的に、中国人や韓国人には「敵味方不倶戴天」という行動原理がある。中国の儒教理念では人間は「中庸思考」をもつべきだと唱えているが、これは利益関係が一致する人間同士の間にだけで、自分の不利益に直結することでは敵対視して容赦なく闘う。まして、敵の霊魂を容認し慰霊することは到底ありえない。
日本人は敵方の霊を慰めることで心が慰められるが、中国、韓国人は敵方の霊まで徹底的に攻撃することで心が慰められる。敵味方の霊魂を同時に慰霊する一元的思考は、まさに日本人的なものだ。日本人の日常生活のなかをみわたしても、集団は多元的発想を尊重する基盤の上でなり立っている。たとえば、靖国神社参拝問題にしても国民の間には自由で多様な意見が存在し対立する意見も共存することができる。
中国では小泉前総理の靖国神社参拝に対して政府でも民間でも反対意見一色だ。原理や理念での統一を求められる中国のような社会では、違った意見や小泉前総理への賛成意見が出たら裏切り者として扱われる。韓国も中国と似通った状況である。「民主主義」思想が定着してもおかしくない韓国でこのような全体主義的一元思考になるのは、やはり大陸的原理原則社会の証であろう。もちろん、賛成する者や日本にまかせればよいと考える人も多数存在するがそれを公にしてはいけないのだ。独島(竹島)が日本の領土だという韓国人はほとんどいない。そのような発言をする人は親日派・売国奴として叩かれるはめに遭う。
韓国人の激しい反日感情は、表層的な政治問題では解釈できない。日本に対する怨恨にある。36年間屈辱的な日本の支配を甘受したが、戦後に独立できたのは自らが戦って勝ち取ったわけではないという恨みである。だから、一度でも戦って日本に勝つのが韓国人の願望だ。現在もそして将来も韓国が国力で日本を超越しない限りこの怨恨はいつも日本に向けられる。
半島の恨文化に似ているのが大陸の「仇文化」で、中国の反目感情は政治次元で単純に解釈できる問題ではない。中国では「有仇必報」という言い方があり、恨みがあれば必ず報復するとした。しかも「君子報仇十年不晩」と、君子は仇をとるのに十年を待つとすさまじい。富国と強兵、これはかつて受けた帝国主義へやり返すための今日における中国最大の国家目標だ。
韓国や中国はこのような怨恨文化をもつ社会である。当然、日本人には大陸、半島的なすさまじい猛烈な国民性を理解できない。中国・韓国の怨恨、報復文化は形を異にしていても、相手に対してやられた仇を討ち恨みを晴らす執念の深さは共通している。一方日本は怨恨文化を持たないため、たとえ相手にやられてできた深い痛みでも、別の方向に転換させて、癒され、慰められる。だから過去を容認し、執念を燃やさないあっさりとした「容認+過去忘却型」の文化だ。中国や韓国の過去志向に対して、日本は現在未来志向である。
だから歴史問題での3カ国の諍いは、政治次元よりまずはこのような思考様式の違いを勘案しなければならない。
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