狂った陰謀論「QAnon」とは--悪魔崇拝、人身売買など拡散する根拠なきフェイクニュース!

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CNET News(10/13)

QAnon(キューアノン)とは、Donald Trump米大統領が悪と闘っているとする陰謀論およびそれを支持する集団を指し、匿名の電子掲示板を発祥とする。この集団がデジタルの世界から日常生活に飛び込んできた。今や、QAnonが拡散する、多岐にわたる全く根拠のないでっちあげ情報は、政治にまで影響を与えている。十数人の上·下院議員候補が、悪魔を崇拝する米民主党員や子供の人身売買に関わるエリート、大統領の暗殺を画策するディープステート(Deep State、深いところで国家運営を操る影の政府)などの存在を信じていると表明したほどである。念の為にはっきりさせておくが、これらは虚偽の主張だ。

増え続けているQAnon支持者たち

こうした陰謀論は、2017年にハンドル名「Q」というオンライン投稿者がTrump氏との関係を主張したことから始まった。Qの投稿は「Qドロップ」と呼ばれ、他の陰謀論者がこれを見つけては増幅し、その不可解なメッセージを広めた。このようにしてQAnonは急成長し、3年後には米連邦捜査局(FBI)がQAnonは米国に脅威をもたらすとみなすまでになった。

QAnonを深く理解するためには、彼らの陰謀論がどこから始まったのか、支持者が何を信じているのか、そして、現実の世界でどのような暴力行為を引き起こしているのかに着目する必要がある。上·下院議員たちはQAnonのでっちあげに悩まされた挙げ句、彼らを非難する超党派の決議を可決したほどだ。

QAnonの奇妙な世界について、知っておくべきことをまとめておこう。

そもそもQAnonはどこから来たのか?

QAnonは、オンラインの陰謀論の1つで、Trump氏が民主党のエリートやハリウッドスターなどが参加するディープステートと密かに戦っていると主張する。祖して、ディープステートのメンバーは、小児性愛者で悪魔崇拝者なのだという。食人も行っている。彼らはそう信じているのだ。

始まりは2017年10月、電子掲示板への1件の匿名投稿だった。その内容は、2016年の大統領選でTrump氏の対立候補だった民主党のHillary Clinton氏の「国外逃亡に備え」、複数の国と身柄引き渡し協定が結ばれているというものだ(そのような国外逃亡は今でもなされていない)。この投稿をした個人あるいはグループが「Q」として知られるようになり、それがこの陰謀論の呼称の由来だ。

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QAnonの最初の投稿

それ以来、QAnonは拡大し、より奇妙になっていった。Barack Obama前大統領と億万長者で慈善家のGeorge Soros氏も、他の著名人と同様にオンライン陰謀論にたびたび登場するようになる。

ところで、「Q」は米エネルギー省では、最高セキュリティレベルの機密情報取り扱い許可を意味する。エネルギー省は核兵器を管轄する省だ。Qは、Trump氏とそのチームと密接に関わっていると主張する。

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Qとは何者なのか?

Qと呼ばれていること以外、われわれは何も知らない。

当然、複数の人が自分がQだと名乗り出た。また、ある説によると、この謎の人物はタイムトラベラーなのだそうだ(何でも信じてしまいがちなQAnon支持者でさえ、さすがにそれはまともではないと考えているようだ)。

南アフリカ共和国ヨハネスブルグ出身の陰謀論者、Paul Furber氏が、最初のQの投稿をした人物ではないかとみられている。最初の投稿の数カ月後、Alex Jones氏が司会を務めるInfoWars TVにゲスト出演したためだ。InfoWars TVは、Trump氏支持者のお気に入りである陰謀志向の番組で、Furber氏の出演はQAnonをオンライン掲示板からより主流の聴衆に届ける契機になった。

オンライン掲示板8kunの運営者であるJim Watkins氏も、Qではないかとみられている人物の1人だ。Qの投稿が、最初に現れてから割とすぐに、8kunに移行されたからだ。8kunの前身に当たる掲示板を構築したFredrick Brennan氏は、サービスは匿名になっていると思われているが、掲示板の認証システムでメッセージの投稿者を確認できるとしている。

米CNETはFurber氏とWatkins氏にコメントを求めたが、両氏とも回答しなかった。いずれも陰謀論に関わっている可能性について公式の声明は出していないが、Watkins氏はQAnon Super PAC(Political Aaction Committeeの略で、政治資金を集めるための組織)を立ち上げた。

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QAnonはいかにしてオンラインから現実世界に躍り出たのか?

Furber氏がInfoWarsに出演してから、Qの支持者はYouTube、Facebook、Twitter、Instagram、TikTokなどに進出し、Qの不可解なメッセージを解読しようとする試みで支持者を増やしていった。自らを「anons(匿名者)」と呼ぶQの支持者たちは、警備員に追い返されることがあるが、Trump氏の集会の常連だ。彼らは「#SaveTheChildren」というメッセージを掲げた独自の集会も開催する。このハッシュタグは、本来は子供の人身売買と闘う合法的な組織が使うものだ。

QAnonの狂信は、犯罪行為を助長してもいる。2018年6月、1人のQ支持者が武装した車両でフーバーダムへの道路を封鎖し、逮捕された。この男は2020年2月、テロ容疑で罪を認めた。2019年3月にニューヨークでマフィアのボスを殺害した罪で起訴された男は、Q支持者だと主張し、法廷で手のひらに描いたQという文字を提示した。男の弁護士は、彼がQAnonやその他の極右思想を狂信していると説明した。Q支持者の複数の女性が、自身の子供を誘拐した罪に問われている。彼らは、人身売買から子供たちを守っていると信じている。

QAnonに対する懸念があまりにも高まったため、FBIは昨年、この運動を国内におけるテロの脅威と規定した。米下院もQAnonに対する非難決議案を可決したが、反対した議員もいた。

それにもかかわらず、QAnonの人気とその影響力は拡大し続けている。QAnon信者を自認する数十人が、上·下院選挙で立候補した。オレゴン州の共和党上院予備選に出馬したJo Rae Perkins氏は「#WWG1WGA」というハッシュタグ付きのツイートを投稿した。これは、QAnon支持者がよく使う「where we go one, we go all(一丸となって進もう)」の略語だ(ツイートは既に削除されているが、Wayback Machineにアーカイブが残っている)。同氏は米CNETに送った声明文で「私がQを支持するのは、憲法修正第1条の権利、報道の自由、言論の自由を行使する人や団体を支持するのと同義だ」とした。

ジョージア州の共和党下院予備選に出馬したMarjorie Taylor Greene氏は、陰謀論についての約30分の動画の中で、Qを「愛国者」と呼んだ。同氏について、Trump氏は「未来の共和党のスター」だとツイートした。Trump氏は、Q支持者のアカウントによるツイートをよくリツイートしている。

SNS企業はQAnon対策をしているのか?

他の多くの過激思想と同様に、QAnonはSNSでまたたく間に広まった。YouTube、Twitter、Facebook、Instagram、TikTokはそれぞれ、QAnon支持者急増に重要な役割を果たした。

SNS企業はそのことに気づき、対策に乗り出した。

Facebookは8月、社内調査の結果、ポリシーに違反していることが判明した数千のQAnon関連のグループとページを削除あるいは制限した。また、Instagramも1万件以上のQAnonアカウントを制限した。10月6日には、QAnonに関連するすべてのページ、グループ、Instagramアカウントを削除すると述べ、対策を強化した。

Twitterは7月にQAnonアカウントの取り締まりを始め、規則に違反したとしてQAnon関連の数千のアカウントを削除した。そのうちの一部は別のアカウント名で活動を再開したが。TikTokは同月、QAnon関連のハッシュタグを禁止した。これにより、TikTok上で関連動画を見つけるのが困難になった。

YouTubeは、2020年初めに発効したモデレーションポリシーにより、QAnon動画の視聴回数が70%減少したとしたが、他のSNS企業のようにアカウントを取り締まることはしていない。Redditも、QAnonの投稿やサブレディットへのリーチを減らすための対策をとった。

ビジネスに特化したSNSであるLinkedInも例外ではない。偽情報を投稿したり、自分のプロフィールにQAnonのスローガンを掲載するユーザーが出始めており、LinkedInはそれを取り締まっている。

eコマースサイトのEtsyですら、QAnonを取り締まったと、Business Insiderが10月7日に報じた。同社は、この運動に関わる商品はすべて削除すると述べた。

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QAnon支持者は他にどんな奇抜な話を信じているのか?

本当に知りたいのであれば、これから紹介する話はすべて、一切の根拠がないことを頭に置いて聞いてほしい。

中心的なのは、Trump氏が政府、民主党、ハリウッドに潜む悪魔の犯罪者を排除するために闘っているという説だ。

支持者たちは、民主党の主要メンバーやハリウッドのエリートが小児性愛者のための組織を運営していると信じている。Tom Hanksさん、Oprah Winfreyさん、Ellen Degeneresさんが、根拠なくその組織の一員だとされた(この批判はでっちあげなので、米CNETはこれらのスターにコメントを求めなかった)。

最も奇抜な話の1つは、故John F. Kennedy大統領の息子であるJohn F. Kennedy Jr.氏が生きているというものだ(Kennedy Jr.氏は1999年に飛行機事故で亡くなった)。Q支持者は同氏が生存していると信じているだけでなく、同氏が10月中に、Trump氏の副大統領候補として発表されると主張している。現副大統領のMike Pence氏が既に候補になっていることは気にしていないようだ。

QAnonは、地球平面説や反ワクチンなど、他のよく知られた陰謀論も展開する。信者たちは、新型コロナウイルス感染症のパンデミックに関する偽情報拡散の最前列に立ってきた。例えば、中国政府がウイルスを開発したとか、Microsoftの共同創業者で慈善事業家のBill Gates氏が米国民にマイクロチップを埋め込むためにこのパンデミックを利用するとか、このパンデミックはTrump氏の再戦を阻止するために仕組まれたでっちあげだとかを信じたりしている。